騎士団募集のチラシが酒場に貼られた。
※長め
この都市は分かれている。
二分とは言わないが、まぁ、大きく分けて三分くらいにだろうか。
騎士と、レジスタンスと、
中立、といえば聞こえは良いがざっくり言うとどちらに行くのも面倒だという派。
細かく言えば現在把握できていないのも含めると無数になるだろう。
アクスヘイムから移動してきたエンドブレイカー達も同じように分かれた。
そのような中、彼女は何処に所属するべきかしばらく決めかねていた。
そして彼女の立ち位置を変えたのはレジスタンス達だった。
ハーフエルフの子供達を元気づけるという願いは大いに歓迎した。レジスタンス達の中には顔を知られている者もいるだろう、(先発隊の話を聞くとその可能性は高い)その可能性の低い新参者に頼むのには納得した。彼女が参加しなかったのは自身が話下手だとう事を自覚しているからに過ぎなかった。
しかし、騎士の陽動作戦と名付けられた騎士の仕事を悪戯に妨害する依頼は虫が好かなかった。エンドブレイカー達に頼むのは初手の油断を誘う上では良かっただろう、ハーフエルフ達の移動と言う本題にレジスタンス達が集中するためにも諸事を外部に頼むということで納得はした。だがハーフエルフに関わる者ではなく騎士であるだけで標的にするとは、ハーフエルフというだけで処刑する政府と何が違うのだろうか。それでも彼等の気を惹くだけなら眉根を寄せる程度ですんだ。一番彼女を苛立たせたのはレジスタンスという事にして騎士達を辱めろという点だった。
おまけにハーフエルフ達の移動まで手伝わせるとは。少々というのも優しいくらいにこちらに寄りかかり過ぎではないだろうか。
とにかくこれらによって彼女のレジスタンスへの好感度は酷く下がった。戒律の理不尽は分かる、逆に言うと彼等にはそれしか共感出来ない。
そして思い出すのが陽動作戦が開始されようかという直前に見かけたドンチャッカと言う人物だった。レジスタンスの胡散臭さに比べれば、彼の戒律は守りハーフエルフは狩るがレジスタンスには手を出さない、という独善は心地が良かった。おそらくは彼も戒律を妄信はしていないのだろう。
それにしてもこれを書いた人も恐らくはエンドブレイカーだろう、意地が悪い。チラシに書かれていた「明日の街を守る」は都市警備隊でもやれるだろうに、わざわざそれをキャッチコピーにするとは。どう見ても騎士団へ向けた言葉だろう。
政府の都市警備隊の再建が遅れたのはエンドブレイカー達にも責任がある。
高級待遇と週休2日制に釣られたのではない。